空ろの箱と零のマリア

♪このポリループ ああ空箱 みたいな教室だ

初めて会うはずの転校生、聞いたこともない彼女の名前を知ってる僕。星野一輝は、転校生 音無彩矢の敵意溢れる宣戦布告に――僕らをこの日に閉じ込めたのは誰サスペンス。
同じループものでも、登場人物が繰返し記憶を共有しているかどうかで考えると、共有されない『All You Need Is Kill』(桜坂洋) *2よりは、共有度の高い『原点回帰ウォーカーズ』(森田季節) *3とに近い本作。記憶が共有されていると、繰り返しの原因となった犯人探しの方向に向かうのかも。
デビュー以来初めて挿絵がついた御影瑛路ですが、後書きで「自分のキャラクターが、自分だけのものでなくなる感覚。自分の支配下から逃れる感覚……このキャラクターの独立が自分の作品に影響を与えるでしょう」と書いています。
忘れた頃にやってくるライトノベル定義論からすると、「キャラクターのイラストがつくことを作者が織り込み済みで書いた小説」がライトノベルである、といえるのかもしれません。この定義だと、ラノベレーベル新人賞の投稿段階とか、まだ出版されていなくても、作者の考え方ひとつでライトノベルか否かが決まりますね。
ちょっとした台詞が犯人の決め手になるところは、ちょっとミステリちっくで好き。『CROSS†CHANNEL』(田中ロミオ) *4的な歪みもきちんとあるお薦め。

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