狐火の家

神の味噌汁
著:貴志祐介 画:水口理恵子 角川書店*1

殺人事件に巻き込まれ、弁護士 純子に相談を持ち掛けた小劇団女優のさやか。番犬呑龍号が吠えなかったのは何故なのか――「犬のみぞ知る Dog knows」を含む四篇の密室ミステリ。
このシリーズの見処は、弁護士の純子や捜査一課のハゲコウが、嫌々ながらも泥棒と紙一重の鍵屋 榎本に頼らざるを得ないところでしょうか。何とか頼らずに済まそうと足掻けば足掻くほど、榎本の推理がより一層光って見えてしまう引き立て役の哀しさ。
書き下ろしの「犬のみぞ知る Dog knows」は、俳優や脚本家といった関係者が皆、同じ人間を小劇団の主催者を殺した犯人だと主張するところが秀逸。「一六三人の目撃者」/『日曜の夜は出たくない』(倉知純) *2と同じく、是非とも劇団LED*3で舞台化して欲しい。
「黒い牙」では、アラクノフォビアの純子もそうですが、読んでいるこちらも馴らされてしまうところが恐しい。確かに綺麗だ。

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