踊る陰陽師 山科卿醒笑譚

さんま、人形、捜査線
著:岩井三四二 画:横田美砂緒 文藝春秋*1

父と兄の死で急拠 陰陽師太夫をついだのは良いものの、病除けの祈祷で失敗し、評判は落ちる一方。そんな彼に、山科家の家人 掃部助は竈祓いを依頼するが――室町末期の小咄集。
表題作に描かれる祈祷って、今でいうカウンセリングに近いような感じ。なるほど確かに、「気休め」という言葉がふさわしい。その意味では、陰陽師を信じる心こそが重要で、自分で埋めた錆刀を発見してみせる《演出》も、プラセボ効果を引き出すための必要悪ということなのでしょう。
SEO対策万全のビジネス書のようなタイトルの短篇「信長を口説く七つの方法」/『難儀でござる』(岩井三四二) *2もそうですが、この著者の描く人は、何故かみんなお金に困っていて、その状況を自嘲しつつも、鬱屈した思いの発散の方向性が陽性。
人生の革命的な一発逆転を求めないことが、日々をこなしていく秘訣なのかもしれません。

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