宵月閑話 はかなき世界に、最期の歌を

ただしイケメンに限る」は必要だが十分ではない

祖母の死の真実を知るため、親戚に霊能者がいると噂のクラスメイト 仁希に相談した麻里は、彼女が家令として仕える変わった青年 閑に相談するが――小野篁の裔は甘い物好きホラー。
本当は能力があるのに働く気がない駄目主人に仕えるしっかり者の女の子、というキャラ配置は、『トワイライト・トパァズ』(佐々原史緒) *2や『占者に捧げる恋物語』(野梨原花南) *3と同じですが、弟子の女の子の視点から描くのと、駄目主人に仕えるメイド仁希のクラスメイト麻里の視点から描くのとでは、大分印象が違います。事件解決に男の能力が必要になっちゃうので、どうしても異能の持ち主であることが強調されて、男の駄目度が緩和されるからかも。
駄目男モノって、なんとなく女性作家が得意とするジャンルのような印象があります。駄目男を続けるには、女の子に好き勝手に言われても動じない度量、ある種のヒモ的才能が必要。どこに惹かれてしまうのか、それを読者に納得させる心理描写がキモになるからかもしれません。

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