ふたり狂い

ホスト名表示の掲示板と威力業務妨害
著:高梨幸子 装:SONICBANG CO., 早川書房*1

監視され、公表され、記憶を操作され、ふとしたはずみでバタフライ効果。売れない芸人と売れっ子作家の悲恋を描く小説『あなたの愛へ』がもたらす波紋は――狂った日常の狂った円環連作短篇サスペンス。
全8篇の「ミステリマガジン」連載の連作短篇。日常系の連作短篇だと、最終話が書下しで、それまでの話をちゃぶ台返しする構成がよくありますが、本作はちょっと違います。
会話が成立しているように見えて何か伝わっていないもどかしさが怖さのスパイスになっています。アイドル状態でファンがうるさいを極端に延長した感じ。
小説の感想をウェブで収集していると、プログラムで生成されたアフィリエイト目的の「日記」に遭遇します。そういう「日記」同士が相手の「日記」を参照してトラックバックを打ち合うようになったかのような、そんな居心地の悪さが、読んでいて癖になりました。

><