リバース

ストーカーの一念がハートを直撃

美人の恋人 美月をエリート医師 篠塚に奪われた売れないギタリスト省吾は、篠塚が美月を殺すと信じこみ、執念深く二人の行動を追うのだが――負け犬ストーカー探偵のサスペンス。
篠塚を疑うことになったきっかけが、まさに「フられ男は真実を見たがらない」の典型という感じで、その行動も見守るのが辛いぐらいの典型的なストーカー。どんでん返しがある、と知っていなければ読み進めるのが苦しいぐらい。
そんな省吾が篠塚に、彼女のために一生を投げうつ覚悟があるか、と問い詰められて即答できないところが何ともリアルでたまりません。
そんな彼に適切なアドバイスを与えるのが幼馴染みの妙子で、どう見ても妙子エンドしかない、と感じさせておきながら、篠塚の職業がピリリと効いた「二つの愛」/『ブラックジャック』(手塚治虫) *2的なエンディングには呆然。
自分をフった相手の家の周りを未練がましくうろついた経験のある方にお薦め。

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