ブロードアレイ・ミュージアム

ギャングは丼勘定よりも会計士がお好き

ブロードウェイ裏通りの博物館でキュレーターとして働くことになったエディは、いわくのある品に触れると未来の悲劇を予感してしまう少女フェイに出会い――気取らない禁酒法時代モノ。
ラリック、ベーブ・ルース、シャネル、リンドバーグと、ギャングも華やかなジャズエイジを描いた本作ですが、『HAPPY AGE』(吉野朔実) *2 *3のような小洒落た感じよりは、『ザ・マジックアワー』(三谷幸喜) *4みたいな国産の雰囲気が漂っていて、身構える必要はなし。
フェイの未来予知は、その内容を他人に告げなければ他人が未来を変えることもできるという能力。ミステリ畑から見ると、名探偵は何故、途中で犯人を予測して事件を未然に防いだりしないのか、と似たような設定ですが、SF的な見方では、観測問題の隙間を縫って未来を望む方向に進める『幽霊には微笑を、生者には花束を』(飛田甲) *5にちょっと似ています。
本作では事件に気付くきっかけとして使われているのがほとんどなのですが、最終話での捻った描き方が気に入りました。

><