探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」

ハロウィン提灯、アメリカ南瓜、アイルランド

免許取り立ての諾子先輩の運転で山間のペンションに向かったあかねたちは、樹海の廃校に隔離された色白の兄妹達に出会い――いのちは宇宙を支えるちからなんだミステリ。
今回の相手は、冒頭からしてどう見ても吸血鬼。血のかわりに薔薇のエキスで命をつなぐ耽美な吸血鬼『ポーの一族』(萩尾望都) *2 *3 *4で育った私には、本作の吸血鬼は薔薇が苦手、という設定に驚き。吸血鬼を消滅させるための杭の材料として使われる山査子は、確かにバラ科でした。
本シリーズの謎解きは、条件を論理パズル的に組み合わせる形式で、巻を追うごとに、前提条件の提示の整理の仕方がすっきりしてきています。第一の事件の解決は、特に衝撃的。言われてみれば確かにそうなんだけど、思い付きもしなかった《トリック》でした。
探偵役コモのザビ家ネタやコモの部下 保丞警部のコロンボネタは健在の今巻ですが、何と中表紙イラストに「妄想もかるたもないけどガンバル☆」との台詞が。
個人的には、超爆走するあかねの妄想や扁平胸に言及されると湧出する江戸っ子人格をかなり楽しみにしているので、五行相剋が一巡する次巻(最終巻なのかな?)では、是非復活を希望。

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