敵は海賊・短篇版

HALもラジェンドラもトチローも男

対海賊課刑事ラテルは、叔父が失踪したと訴える少女とデートするよう命ぜられるが、同行した猫型宇宙人の同僚アプロの悪口に悩まされ――インターセプターかエシュロンかSF短篇集。
表題作「敵は海賊」は、ラテルとアプロが男同士喧嘩し合いながら謎を追うサスペンス展開。ヒロインとの恋愛が絡まないストーリーを読んだのは、何だか久し振り。モテ・非モテを気にせずにいた頃の男子校部活動時代に引き戻されるようで、回春された感。
女海賊マーゴが駄目男に惹かれてしまう「わが名はジュディ、文句あるか」は、一応は色恋の話なんですが、マーゴによるマーゴ自身の分析が冷静沈着で、「LOVE寄せ」な感じはゼロ。
かつて表題作と同じ頃に読んだ『銀河郵便は“愛”を運ぶ』(大原まり子) *2では、冴えない郵便配達員イルと男女可変セクサロイドラムジーの二人の距離感やホモっぽさにやきもきするのが楽しかったんですが、ラテルとアプロには、そういう匂いを感じません。
今となってみると、恋愛系サービスが一切されないというのも、それはそれで清涼で、気分が良いですね。お薦め。

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