ヴァンパイアノイズム

スッポンの生き血は酒で割る

伊達眼鏡の萩生を街角で見掛けた僕は、彼女がいかにも自殺しそうな場所を巡り巡っていることに気付き――死は怖いか不死は怖いかラブストーリー。
日々をつまらなく暮らす《僕》の人生のつまらなさ加減が極立つ冒頭の本作、吸血鬼になりたい彼女を手伝う展開なんですが、冒頭の《つまらなさ》が、不死を手に入れた吸血鬼の《退屈》を暗示しているみたい。
そういう風に読むと、本作は、退屈から抜け出すために儀式を行って、死に対する怖れを取り戻す構成にも見えてきます。この構成、基本設定とまるっきり正反対になっているのが面白い。
同じ作者の『ぷりるん。〜特殊相対性幸福論序説〜』*2はハーレム系の日常が痛々しくも壊れていく話でしたが、本作で《僕》を囲む女の子は三人。
ところが本作の場合、幼馴染みの詩歌やクラスの変わり者美人 小野塚への指向はあくまで仄かで、一直線に萩生ルートに進んでいて、確かに青春!なラブストーリーでした。

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