九月の恋と出会うまで

アニメのフィギュアが部屋にあるサラリーマン

同じ建物に住むサラリーマン平野との無愛想な出会いを、いつものように熊のぬいぐるみに語りかけた志織は、《未来の平野》からの声をエアコン穴から聞き――ロクサーヌはいつシラノに気付くのか時空を超えるラブストーリー。
街角の風景を一眼レフでモノクロフィルムに撮影するのが趣味の志織。引越しの原因は、現像の薬品の匂いで、高校時代の部室棟の写真部のあの酸っぱい匂いを思い出しました。
シラノこと未来の平野から、毎週水曜日に自分を尾行して欲しい、と依頼され、それに従って行く先々の平野を撮影することになるのですが、後半ではカメラを巡るエピソードが殆どなし。彼女のキャラを立てる必要がなくなったからかもしれません。
男の子なら、たとえば『ある日、爆弾が落ちてきて』(古橋秀之) *2みたいに、時間がずれた女の子から話を聞かされてもすぐに信じそう。一方本作では、男と女の役割が逆。
時空を超えた会話には納得できないものを感じつつ、ぬいぐるみが喋るという不思議事態にはすぐ適応できちゃう女性、というのは、確かにそうかも。

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