もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

真摯でなければ紳士じゃない
著:岩崎夏海 画:ゆきうさぎ ダイヤモンド社*1

経営魔術の使い手ドラッカーの魔導書『マネジメント』に出会った程高野球部女子マネージャーみなみは、その秘術を駆使して、入院した親友夕紀に野球部を甲子園に連れていくと誓うが――ビジネス書の陥穽、実感エンタテイメント。
いわゆる《小説》とは異なり、プロットとシナリオの中間というか、絵コンテの文章化というか文体の本作ですが、その筋立ては、『フル・モンティ*2系の《駄目○○の建て直し王道展開》をしっかりなぞっていて、放送作家という作者の出自を感じさせます。
表紙デザインもちょっと懐しいラノベっぽい感じだし、『マネジメント』(ドラッカー) *3を引用した説明が、まるで《魔法》《技術》の設定みたい。節目節目のクライマックスは、『マネジメント』の解説ではなくキャラの感情の爆発で押し進め、しかも舞台は学園、ヒロインの一人は難病。これがマーケティングか。
ユニットテストという開発手法を解説した『Rubyを256倍使うための本 極道編』(助田雅紀) *4もそう思ったのですが、エンタメとして完成された《ビジネス書》の最大の問題は、読んだだけで、自分が何かどえらいことをやったかのような達成感が得られてしまうことかも。お薦め。

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