げんしの光、スラムの夏 (第2回)

いつもと同じ書きわりのターコイズブルーの抜けるような空の下、ハリセンを持った饗子がちょっととぼけた悠有をネタに遊ぶ夏、いかがお過ごしでしょうか。第2回です。
前回は差異を中心に書いたつもりが、読み返してみると、結構共通点に言及してますね。共通点を見つけるのも差異を見つけるのも、やっぱり楽しい、ということでご容赦ください。
今回もネタバレを含みます。スラムオンライン(桜坂洋) *1サマー/タイム/トラベラー(新城カズマ) *2 *3All You Need Is Kill(桜坂洋) *4推定少女(桜庭一樹) *5砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹) *6究極超人あ〜る(ゆうきまさみ) *7げんしけん(木尾士目) *8妖精作戦(笹本祐一) *9AIR(Key) *10などを未読、未プレイの方は、ご注意ください。
以下は関連リンクです。

夏とスラムと少女の死体

前回は、スラムオンラインサマー/タイム/トラベラーの物語構造上の差異について指摘するとともに、げんしけん究極超人あ〜るとの相似性に言及した。
今回は、前回言葉が足りなかったかもしれない「ユートピア」の捉え方から、話を始めることにしよう。

グレートマザーが狙われる!

前回は、登場人物たちにとって「居心地の良い場所」を「ユートピア」と呼んだ。読者の理想像が超人(スーパー高校生)であり、一つのユートピアに生涯とらわれ続けることを「悲劇」である、と述べた。

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