週刊読書人で

yomimaru2005-08-23

紀伊國屋BookWebの新聞書評の掲載本コーナーを見て、週刊読書人*1の2005年8月12日号*2を入手しました。記事「エンターテインメント〈8月〉今月のおすすめ!!」の紹介作は、時代小説3作、SF 3作、ミステリー3作で以下の通り。

スラム〜は、SF「新しい形の『リアル』」(風野春樹)欄で、リアルとバーチャルを等価に扱う新しい感覚があり、ほんの少しだけ未来のリアルをすくいとっている、との評価。ミステリー「日常の皮膜の下に潜む恐怖」(杉江松恋)欄では、過去作のモラトリアム期の恐怖・社会に出ること・探偵という汚れ仕事の構図と、犬は〜の主人公のモラトリアム性への指摘がされていました。
この新聞、モノグラフの草三井さんが定期講読していそうな紙面、といったら感じがわかるかな?

奇蹟の表現 II 雨の役割

bk1

再び修道院で働くことになった元マフィアのボス シマ。亡くなった娘に似た少女ナツにあいかわらず振り回される彼だが、またしてもナツの主張で、納骨堂に潜んでいた綺麗な子供オズをかくまうことになり――猪型サイボーグ ハードボイルド。
前巻*2では、修道院に潜む陰謀を暴いたシマとナツのコンビですが、今巻では、彼の正体を探る警察官イルマが〈危険な女〉のポジションに立ち、いい感じにハードボイルド風味が増してきました。主人公シマがナツを見る視線があくまで「娘」なのもいいですね。
利己的にみえて結局シマやナツのいいなりになってしまう情報屋ミクニ、ナツと折合が悪い新任の副院長スギノもいい味出してます。お薦め。