彩雲国物語 花は紫宮に咲く

yomimaru2004-08-12

生活力溢れる貧乏貴族秀麗とやる気のない国王劉輝との掛け合いが面白い1巻*2、男のふりをして宮廷アルバイトをする秀麗と仮面の有能上司黄奇人の謎が深まる2巻*3に続く第3段。今巻では、ついに国家公務員試験(第I種)に初めて女性で合格した紅秀麗(第3位)と最年少13才で合格した杜影月(第1位)が新人研修のしごきや同期のやっかみ、上司の反発で苦労する、これを傍から見守る妙に威厳のない国王の話……といったら少々ずれてますか。国家公務員は仕事がどんなにきつくて徹夜続きでもとにかく死なないことが出世への第一歩。これは彩雲国でも一緒なのです。
このシリーズ、秀麗は確かに事件の鍵になってますが、周りの美丈夫どもだの影の実力者だのが問題を解決してくれる傾向があります。特にこの巻は、秀麗が主人公の話(逆ハーレム状態な話)として見るよりも、秀麗や影月という爆弾がやってきた宮廷の本音と建前を巡る群像劇と見る方が正しいような気がします。「キャリアウーマン立身出世物語」ではなく、「できる女の子が男子校にやってきた!俺達どうしよう?物語」。十二国記のような完全なる頂点からの変革も悪くないですが、本作のような「有能な新人官吏の登用による新風」というテーマもいいですね。これから物語の性格がどうかわっていくのか注目です。
楽園の魔女たちではサラが一押しの私*4、続刊では影月の活躍に期待。