赤×ピンク

yomimaru2004-08-13

やっと買えた。amazonの紹介だと「新シリーズの第1巻」ということになっていますが、続きは出ていません。ひらひらレースとピンクのフリルの「まゆ14歳」、黒ラバーの女王様「ミーコ」、女嫌いの女格闘家「皐月」が夜な夜な闘う舞台は廃校跡の泥レスキャットファイトクラブ。それぞれがヒロインとなる3話連作物。前の話のラストと次の話の冒頭が異なる視点で描かれているので、シリーズが続いていたとしたら、最後は円環状にまゆ14歳の話に戻っていたのかもしれません。
桜庭一樹(女性)の空手小説家らしさが良く出ています。当方格闘技には詳しくないのですが、魅せる試合や自分が求める武道の描写など、孫が必死でヒーローのすばらしさを説く姿を眺めて良き哉良き哉と微笑む爺婆の気分を味わうことができました。
各話のヒロインが抱える問題が、軽快で奇妙なテンポで、すぱッ!と切り取られたり、ごぽッ!とえぐられていく感じがして、なかなか快感です。こんな擬音語は出てきませんが。シリーズ打ち切りっぽいのが残念。まあファミ通文庫というよりも、元気だった頃の文藝/河出文庫風の雰囲気ですから、打ち切りなのも当然かも。「ここはきっとロワッシーの館で……」*2のくだりとか、笑っちゃいました。武道だけでなく、妙にマニアックなところがたくさんで、ネタがわかる人にはたまらないかも。
GOSICKシリーズ*3 *4とはまったく方向性が異なる話なので、ヴィクたんハァハァ方面の人にはお勧めできないような気がしますが、私的には桜庭作品の一押しです。