冷たい校舎の時は止まる (上)(中)(下)

yomimaru2004-09-14

冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス)冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)

第31回メフィスト賞受賞作。雪の校舎に閉じ込められた八人。学園祭最後の日に自殺したのは誰だったのか――おもい、だし、た?
犯人探しよりも、登場人物それぞれが抱える問題や心理描写に力点が置かれていて、回想シーンがかなりの量を占めています。
雪山の山荘モノで一人ずつ消えていくミステリーだと、互いの疑心暗鬼が見せ場の一つとしてよく使われますが、本作の登場人物たちはそういうところがない。あまりに純真で善人で、誰もが自分を責める方向へ向かってしまいます。生徒の描写が乾いている密閉教室(法月綸太郎)*4とは、その意味で対照的かもしれません。
最初に生じる超常現象が設定の前提になっており、これを納得してしまえるかどうかが本作の好悪を決めることになると思います。「読者への挑戦状」が入っていたのには驚きました。全部読んだ後、上巻冒頭を読み返すと、かなり「なるほど」な部分があります。3冊まとめて読むことをお勧めします。
上巻の発売日が空の境界に重なったのが気の毒。