開国ニッポン

yomimaru2004-09-15

開国ニッポン (集英社文庫)

私にとっての清水義範は、蕎麦ときしめん*2ではなく、中学生の脳を24歳の身体に移植することによって超能力を得た主人公が世界の危機を救いつつ同級生だった女の子と恋愛もしちゃうエスパー少年抹殺作戦*3、ついでに時間旅行もしてしまうエスパー少年時空作戦*4なのです。ソノラマ文庫ジュブナイルSF。調べてみると、実はすごい数出してるんですね。
本作は、江戸時代に三代将軍家光がキリスト教弾圧、鎖国政策をとらず、キリスト教徒から冥加金(宗教税)をとって信徒数を抑える一方で、開国政策をとって諸外国と通商を結んでいたらどうなっていたか、という架空歴史モノです。吉里吉里人(井上ひさし)*5日本SF大賞を受賞するぐらいなんだから、本作もSFといっていいのかもしれない。
真実の歴史との「一致」と「差異」を楽しむ作品であり、日本史に詳しければ詳しいほど面白い本なのでしょうが、文中には本当の歴史が「……ならば……であったかもしれない」と反実仮想で記載されているので、日本史で赤点ギリギリになったことがある私でもおおまかな差異はわかります。
家光が「ワインをもて。カタルーニャの赤がよい」と側近にいうシーンなどには爆笑。史実を知ってるかどうかなんて関係なく面白い。お勧めです。