桜の下の人魚姫

yomimaru2004-11-03

著:沖原朋美 画:幸田真希 集英社コバルト文庫*1

コバルト2003年度読者大賞受賞作「桜の下の人魚姫」と登場人物が重なる新作「月のしらべ 銀のみち」の2篇からなる短篇集。天才ピアニストだった彗が鍵になるラブストーリーです。
新作は、ドイツ語ができたがゆえに、彗の友人の天才バイオリニスト ユリスの相手をすることになったピアニスト菜穂子の心の葛藤を描きます。この構図って、パルティータ(竹坂かほり)*2 *3とか羽衣一景(笈川かおる)*4とかと共通するモチーフ。
私の知人の音楽家の友人達といえば、もっと図々しくて自信家で男女関係にだらしなくて、という印象があるので、こういう風に感受性が高くて繊細な登場人物が出てくるとほっとすると同時に、そんなんで生きていけるかー!と叫びたくもなります。
受賞作、桜の花びらのマニキュアが効いています。善き哉。