荊の城 上 / 〃 下

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

時は19世紀半ば。掏摸少女スウは、令嬢モードが相続する財産を詐取するために彼女の住むブライア城へ向かう。同い歳のモードに侍女として仕えることになったスウの心には、彼女への複雑な思いが――侍女百合サスペンス。
境遇が何となく北島マヤ姫川亜弓風。途中からガラスの仮面(美内すずえ)*3の劇中劇で二人が共演、という気分になりながら、一気に読んでしまいました。
この設定、TVドラマ*4や漫画*5、アニメ*6小説*7でもよく使われるやつですが、運命の荒波にもまれる二人の間にいつしか……という点が実に斬新。飜訳モノにありがちな描写のくどさも、19世紀半ばのロンドンや世間から隔絶された城という舞台設定によくマッチしており、上下巻構成がサスペンス度をいや増します。
マリア様がみてる(今野緒雪)*8よりもかなり進んだ百合系を試したい方、絶対のお薦め。