暗夜変 ピストル夜想曲

yomimaru2005-03-17

bk1

腹違いの姉妹として醍醐寺伯爵家に生まれた映と日向子。それとは知らずに闇の何でも屋《闇掌》を営む映の元に、失踪した婚約者への復讐の依頼をする日向子だが、裏に醍醐寺家の陰謀が。突如現れた白仮面の正体とは――第11回ホワイトハート大賞優秀賞受賞作。
架空の大正時代を舞台にした本作、サー・ハムレット事件帳(竹坂かほり)*2をダークでハードボイルドにした風情で、どろどろしたお家騒動と血筋の争いは、大暗室(江戸川乱歩)*3を彷彿とさせます。
白仮面が登場してくるところは、犬神家の一族(横溝正史)*4のマスクの男や黄金仮面(江戸川乱歩)*5といったところでしょうか。
探偵役の映の武器は、刀を好みがちな《闇掌》にしてはめずらしく拳銃なのですが、蘊蓄臭い説明がなく、あっさり爽やかに流しているのが新鮮。直接人を斬る手触りが嫌、というところが、淫猥の中で育ったが故の映の潔癖さを引き立てています。
次巻は、格好つけてるのに実は三枚目、帝都守護隊隊員シンとの絡みに期待。