最後の夏に見上げた空は 2

yomimaru2005-04-16

bk1
著:住本優 画:おおきぼん太 電撃文庫*1

遺伝子強化兵として17年の短かい生命を闘いに散らすはずだった順子。戦争が終わった今、その役割を失なった彼女たちが隔離された高校で16歳の夏を過ごす――最後を区切られた生命と教師名倉との胸を締めつけるような恋。
最終兵器彼女(高橋しん) *2 *3や「ほしのこえ」The voices of a distant star(新海誠)*4では、ヒロイン達のあり方が世界の行く末にきちんと密着していて、リバーズ・エンド after days(橋本紡)*5などを見ても感じる通り、世界に対して何かを完遂したある種の充実感を感じます。
一方、本作のヒロイン順子を含め、遺伝子強化兵として生まれた高校生達は、その役割を果たすことができないままに戦争という舞台が終焉を迎えてしまった「主役になれなかった代役」に過ぎません。
何事も成し遂げられず消えていくやり切れなさ、それゆえに時間を限られた恋につき進まずにいられない彼らからは、アンダースタディ(赤石路代)*6ほどには割り切ることができない若さや、望まなかった舞台で主役にならざるをえない悲哀が伝わってきます。