遠きに目ありて

yomimaru2005-04-22

bk1

小説の登場人物のモデルとして紹介された脳性マヒの少年信一。彼の聡明さに驚かされる真名部警部だが――安楽椅子探偵型の短篇集。
無血誘拐モノで好みの大誘拐*2と同じ著者の連作で、信一の喋る様子が心にしみいります。彼の推理の発想の対する警部の比喩に、樹魔・伝説(水樹和佳子)*3で言及されていた直観瞑想科学を思い出しました。あとは、現代文速解 例の方法(有坂誠人)*4も。
個人的には、警察学校の教官の

先輩とは無理をいうものと思え。年ばかり食っていつまでもうだつの上らない先輩はなおさらなり。これが新入り警官心得の第1条である。(同書 142頁)

というセリフに心を突かれました。