昼メシの丸かじり

昼メシの丸かじり (文春文庫)

カレーライスと手で食べてみたい、と、ずうっと思っていた。立ち食いそばやできつねそばと稲荷ずしをいっしょに食べていて、ある重大な事実に気がついて愕然となった。しらす干しを食べるとき、多数の悲劇、ということを考えないわけにはいかない。こんな印象的な第一文から始まる食のエッセイ集
活字中毒だった私は、隣家から廻し読みでやってきた週刊朝日も全部読んでいました。だから、丸かじりシリーズとの付き合いは、約20年、ということになるのだと思います。冒頭で新しい世界への道を開き、読者の共感を呼び覚ました後に、バトル、そしてちょっと哀しい結末に至るパターン、作者が語りたい設定や世界観が直截にしつこく語られるのではなく、ストーリーラインに沿って自然に頭に染み込んでくるように描かれた異世界モノのようなスタイルは、今でも健在です。
食前絶後!!(ろくごまるに)*2とはまったく逆の味覚の世界、どの巻も、寝付けない夜の友にお薦め。