九つの殺人メルヘン

yomimaru2005-10-16

bk1
著:鯨統一郎 画:佐久間真人 光文社文庫*1

日本酒バーのマスターと常連が語る謎の殺人事件に、グリム童話の新解釈を踏まえて挑む酒呑み女子大生桜川東子――興趣あふれるバー・ミステリー珠玉集。
このシリーズ、常連ら四十代の厄年トリオが昭和の文芸・映画・音楽・芸能の蘊蓄をオヤジギャグとともに語る冒頭がパターンとして確立されていて、その内容に思い当たるところがあれば、この部分は懐しさでかなり楽しめるんじゃないでしょうか。
昔話の深層(河合隼雄) *2や本当は恐しいグリム童話(桐生操) *3、だれが、いばら姫を起こしたのか(フェッチャー) *4などを想起させる童話の新解釈に捻じ伏せられ、殺人事件との重ね合わせに酩酊し、ちょっと新感覚かも。マジックミラー(有栖川有栖) *5のミステリ談議で語られた9つのアリバイトリック分類をベースにしているとのこと。こっちも読み直してみよう。
それにしても〈呑めば呑むほど頭が冴える〉東子、ここにもまた酔拳使いが!