扉は閉ざされたまま

yomimaru2005-12-24

bk1
著:石持浅海 画:サイトウユウスケ 祥伝社ノン・ノベル*1

成城の隠れ家的超高級ペンションを借りて集まった旧友七人は、館の大掃除から始まった。伏見の狙いは事故を装った密室殺人だが――同窓会倒叙ミステリ。
セリヌンティウスの舟(石持浅海) *2同様、《友情》とか《親友》とか《信頼》とかの関係の裏側で、直接語り合わずに、互いの心情を慮ることが強要されるような、そんな気持ち悪さが滲み出てくる作品。登場人物たちが皆、理性的で感情に激するところが少ないのも特徴的ですね。
犯人も殺し方も最初からわかっている倒叙型は、どうやって犯人が追い詰められるかが見どころなんですが、何気ない描写とある意味明らさまなミスリードを読み返して確認するのも楽しみな一冊です。