忘れないと誓ったぼくがいた

yomimaru2006-03-28

bk1

眼鏡屋で惹かれたはずの彼女、あんなに好きだったはずの彼女、その記憶が薄れた今、ぼくは、何度も見た彼女のビデオテープを、また再生する――人の記憶から消えさる彼女 あずさと、なぜかそのスピードが遅いぼくの、切ない恋。
他人に忘れ去られる《難病モノ》で、役所で見るとONE―輝く季節へ〈2〉里村茜編(館山緑)*2の茜がぼく、浩平があずさにそれぞれ対応する感じ。もっとも、二度の喪失の対比が見処の里村茜編に対して、本作はLAST KISS(佐藤ケイ) *3同様、直球の一度喪失系。あずさとの邂逅が時をおいているところは、飛ぶ夢をしばらく見ない(山田太一) *4にも通じるところがあります。
どうにもできない病気と諦めているかのような彼女の態度にキレる主人公もまた、定石通りで申し分なし。この手の《難病モノ》って、一冊読むと続けて同じ系統のを読みたくなるのが自分でも不思議。こういうのが好きな方、お勧めです。

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