終末のフール

yomimaru2006-04-01

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小惑星の衝突が予測されてから早3年、人類滅亡まであと5年、穏やかさを取り戻した仙台市北部の団地。絶望と騒乱の傷癒えない人々は――世界が終わる前の溜息の物語。
以前に読んだ「演劇のオール」*2もこの連作短篇集の一篇でした。人類滅亡まであと1週間のひとめあなたに…(新井素子) *3や、あと1年の殺×愛(風見周) *4のような荒廃や狂気の匂いは薄め。
以前にも思った通り、終末の過ごし方*5CROSS†CHANNEL*6の前半、渚にて(ネビル・シュート) *7の雰囲気が濃厚で、人の狂気と死に慣れてしまった中、残りの5年を如何に「いつも通り」に暮らすか模索する姿が心に刺さります。
収束する擬似家族「演劇のオール」、恩讐の彼方に(菊池寛) *8の反転「天体のヨール」「籠城のビール」、やっぱり恋の一つもしなくっちゃ20代の乙女「冬眠のガール」ほか、お勧めの一冊。

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