押入れのちよ

yomimaru2006-08-27

bk1
著:荻原浩 写:広瀬達郎 新潮社*1

クソ課長に辞表を叩きつけて3箇月、格安の部屋を借りて純子とのよりを戻そうとする恵太だが、夜中にビーフジャーキーを貪りカルピスを飲む少女の声が――ぞくりと切ない九夜の物語。
奥さまはマジ(火浦功) *2よりも直截な題名で迫るママの狙撃銃(荻原浩) *3もそうでしたが、本作も設定上は「下宿先に可愛い女の子の幽霊」展開で、主人公を28歳無職にするか、受験に失敗した高校生にするかは違いますが、オチにも共通性あり。
死んだ友人から呼びかけのを待つ「コール」や、深夜に遊びに来る友人を待つ「しんちゃんの自転車」、いずれも実はホラー風味の設定なんですが、恐さをつきつめて到達する笑いとはちょっと違ったユーモアを感じます。
此の地と彼の地での素材の料理法の違いを感じさせる作品集。

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