君だけの物語

yomimaru2006-09-28

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著:山本ひろし 小学館*1

会社には左遷、息子には拒絶、妻とは離婚、どん底の私は、図書館で見た子供の笑顔に衝撃を受け、息子との絆を回復すべく児童小説を書こうと決意するが――冴えないサラリーマンが小説家としてデビューするまでを描く小説指南ストーリー。
チュンソフト小説大賞ミステリー/ホラー部門金賞受賞の心理捜査*2の著者でもある山本ひろしが、左遷先に住む作家 山本甲士に教えを請うためにトレーニングジムで体を鍛えるところは、ベストキッド*3のガラス拭きのエピソードのようだし、二人の関係を見ていると、本作もサクセスストーリーの黄金パターンに則っていることがわかります。
自分が過去に書いた習作を素材に《どこが駄目か》を指摘する部分は、当たり前といえば当たり前なんですが、本を読みながら「なんでこの話にノっていけないんだろう」と思うときの理由がはっきりわかって興味深い。成功者は結構、なぜ駄目か、を教えてくれないんですよね。
習作として全文掲載されている小川未明文学賞優秀賞受賞の「君だけの物語」の構成を読んだ上で、本作全体を隅から隅まで読むと、これぞ劇中劇、の醍醐味が味わえます。お勧め。

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