僕たちは歩かない

yomimaru2007-01-30

bk1
著:古川日出男 画:星野勝之 角川書店*1

忸怩たる日常を送る若手シェフ達は、1日が26時間になる奇跡の前に、インスピレーションのままに試作を続けるが――雪の夜の終電、疾走する冒険譚。
若手シェフが余計にもらった2時間で試作を繰り返す、とくれば、鬼平犯科帳(池波正太郎) *2 *3的にめくるめくメニューの饗宴の世界を期待するのが人情。鳩の手羽を蜂蜜でカラメリゼ、には、ちょっとドキっとしました。
本作はどちらかといえば、似た境遇であるが故の連帯感に主眼が据えられている模様。たとえば、Room NO. 1301シリーズ(新井輝) *4のマンションの住人がみんな同じ職業、というような感じかもしれません。
ラスト部分は、ジョバンニ達が疾走する銀河鉄道の夜(宮沢賢治) *5の雰囲気。超好み。

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