私立！三十三間堂学院(5)
生来の茶色い癖っ毛、サイズが長い古着の制服、誤解されがちな三白眼。憧れの先輩 樹葉を追って学院に入学した明日香は、相談できる相手もおらず――学園系女子キャラの典型例を次々と繰り出すシリーズ第5弾。
今回は、不良に見えるけど、実は、貧しくも心優しい女子がメイン。お婆さんの荷物を持ってあげようとすればひったくりに誤解され、捨てられた子猫を秘かに世話し、校則違反のアルバイト先は花屋！ ありがちなシチュエーションをとことん追求する作者の姿勢は、天国に涙はいらない*2やLAST KISS*3と同様です。
もっとも、こういうヤンキー風の少女を、頼りになる姐御じゃなくて、下級生にもってきているところに設定の《ずらし》の妙を感じます。
明日香の性格のために誤解が誤解を生む展開となっている今巻は、女子の六韜・三略*4的陰謀の風合いが幾分弱まっています。香りを操る樹葉の、武侠的剛腕が最大の見処かと。
やはりヤンキーと誤解されてしまう女子の恋を描いた改訂男女交際の手引き(遠藤淑子) *5が好きな方にお薦め。
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