明智小五郎対金田一耕助

yomimaru2007-02-15

bk1

職業としての「名探偵」が認められつつある昭和初期、連続するどんでん返しに翻弄される彼らは――表題作ほか、古今東西の名探偵の活躍を描く全7篇のパスティーシュ集。
表題作では美少年小林君はあんまり活躍しないんですけど、小学校図書館で借りた江戸川乱歩全集を読んで彼の女装にドキドキしたことを思い出しました。というぐらいに、記憶を掘り起こしてくれる緻密さ。
「Qの悲劇」は、作者と登場人物の名前が同じ「エラリー・クイーン」であることを逆手にとった手法で、作品パロディではなく、《彼らのあり方》そのものを問うパスティーシュになっています。
「そしてオリエント急行から誰もいなくなった」は、元の作品*2 *3のネタバレなし、しかも、両作を読んだ人には驚きの結末。単一の解への論理的帰結じゃなく、公理を置換することで生じる多数の解からの意図的な選択もまた、ミステリの魅力なんじゃないか、と思わせます。
元ネタを合わせてお薦め。

><