四度目の氷河期

yomimaru2007-02-20

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遺伝子工学研究者のシングルマザーと二人で暮らし、容貌も生活も周囲から浮きがちなワタルは、マンモス再生計画に触発されて自分とクロマニヨン人との関係を疑い始め――少年の孤独なサバイバルゲームは、果たして孤独のまま終わるのかストーリー。
第四間氷期(安部公房) *2からの連想や、押入れのちよ(荻原浩) *3が軽いホラーだったこともあって、こんな感じのSFっぽい話かと思ってたんですが(冒頭の物語の紹介は、嘘は書いてませんけど)、ひとがた流し(北村薫) *4がミステリでないのと同程度にSFじゃなくて、《父がいないこと》をどう埋め合わせるか少年成長譚でした。
小学、中学、高校と、彼の《特徴》があるときは排斥の原因となり、あるときは思慕の対象となり、と、周囲の身勝手な見方が、かえってワタルを一人にさせるところ、沁みてきます。
食べ物のシーンが気になる私としては、納豆にこだわりたいところ。ひとがた流しでは納豆のパックを床に落とすシーンが好きなんですが、本作では、納豆の臭いを気にして手を握るだけですませるワタルの態度が気に入りました。お薦め。

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