晩餐は「檻」の中で

yomimaru2007-02-22

bk1
著:関田涙 画:北見隆 原書房*1

檻の中で被害者と共謀者は探偵に見破られずに殺人犯に仇討ちができるのか。秘かに役割を与えられた7人の合法的な仇討ちゲームの行く末は――密閉空間での知恵比べストーリー。
互いの心の読み合いという点は、濃密な《友情》がちょっと居心地の悪い 扉は閉ざされたまま(石持浅海) *2に似ています。本作では、登場人物が互いに係わりのない人間同士でドライな分、人が殺されて復讐がなされても、ゲーム的な印象がより強く感じられます。
デビューしたはいいものの泣かず飛ばずの負け組作家を、ちょっとだけ大いなる助走(筒井康隆) *3を思わせる方向性で描く挿話がアクセント。
ミステリーって、選択肢を経た複数のルートからいずれか1つを論理的に選ぶ楽しさを追求したパズル的な部分と、その複数のルートのうち面白くて衝撃的なルートのみを紹介するサスペンス的な部分の2つの性格を持つかと思うんですが、本作は、「檻」篇と「小説家」篇の交互の構成を採用することで、この性格を表裏一体に出そうと試みている感じ。
オチは予想できませんでした。帯の煽りの通り、驚天。

><