また会う日まで

yomimaru2007-03-07

bk1
著:柴崎友香 装:原田晃子 河出書房新社*1

修学旅行の夜、有麻に対して心理テストでセックスフレンドを意味する色を選んだ鳴海くんの思い出を確かめるため、予告せずに上京する――恋よりも特別な思いストーリー。
ストーカー的キャラとして登場した凪子ですが、座敷童的ポジションで流れる日常に自然に馴染んでいくというこの展開は新鮮。
再会ストーリーにありがちな劇的な展開からは程遠い本作、女優や写真家の卵の友人たちとのやりとりが、緻密に淡々と描かれていきます。この淡白なところは、ROOM NO.1301(新井輝) *2から、裏で繋がる友達の環の包囲網を取り除いた基調部分と共通する感じ。
この世界にすっと入り込んでさくさく読み進めて読み終わり、思い返してみると大きな事件は何も起きていない、なのに不思議な満足感があるのは、物語を進めようなんて意思をキャラ達が感じさせないからかもしれません。

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