本屋の皆が好きな本 - 本屋大賞2007分析(3)

著:本屋大賞実行委員会 本の雑誌社*1

書店員がいちばん!売りたい本に選ばれた一瞬の風になれ(佐藤多佳子) *2 *3 *4の売行きは予想通りいちばん?の本屋大賞*52007。
本屋大賞2007では、2次選考ノミネートの候補10作品について、支持者の男女別比と年齢層比(10台〜20台、30台〜40台、50台〜)が公開されています。
分析の第1回では女性と男性の支持の違いを、第2回では年齢層による支持の違いをそれぞれ見てきました。

ポジショニングマップ

今回の分析は、これまでの総決算。支持の様子をポジショニングマップで見てみましょう。

横軸は、女性支持か男性支持かを表す軸で、数値は男性支持率、縦軸は、10台〜20台(若年層、青年層)支持か、30台〜(壮年層、老年層)支持かを表す軸で、数値は若年青年支持率です。
4つの象限に大体同じ数の作品が分布するように軸の原点を設定し、分布をある程度グループ分けして、グループごとに異なる色で示しています。
まず、大賞上位作品から。1位 一瞬〜と2位 夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦) *6は、いずれも、縦軸付近で男性と女性の支持率が均衡しているようです。ところが、年齢別に見ると、夜は〜が圧倒的に若青層支持なのに対し、一瞬〜は壮老寄り。2作の支持層の差が1位と2位の明暗を分けたのかもしれません。あるいは、若青向きか、壮老向きか、はっきりターゲットを決めた作品が今回は強かったということもできそうです。
平均して女性に支持されているのは、風が強く吹いている(三浦しをん) *7名もなき毒(宮部みゆき) *8、ミーナの行進(小川洋子) *9の3作。一方で、平均して男性に支持されているのは陰日向に咲く(劇団ひとり) *10。どことなく納得の結果です。
最後に、やはり目を惹かずには入られない鴨川ホルモー(万城目学) *11と失われた町(三崎亜記) *12の位置。圧倒的な男性壮老の支持で、票が伸び悩んだ理由がうかがえます。

本屋大賞占い

2次選考候補の10作(+2冊)を読んでみて、一番好きな作品はどれだったか。それであなたの《書店員的な精神年齢、精神性別》が予想できます。

  • 一瞬の風になれ → 学生時代を懐しく思い出す大人の貴方。
  • 夜は短し歩けよ乙女 → 恋に恋する、まだまだ恋に憧れる、若い貴方。
  • 風が強く吹いている・名もなき毒・ミーナの行進 → 内面に女性らしさを秘めた貴方。
  • 陰日向に咲く → 内面に男性らしさを秘めた貴方。
  • 鴨川ホルモー・失われた町 → ロマンスグレーの貴方。

実際のところ、支持率の差はちょっとしたもので、ここまではっきり物が言えるのかは少々ためらうところがありますが、こうやって並べてみると、どことなく納得の結果ですね。
本屋大賞2007分析(1)
本屋大賞2007分析(2)

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