テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

yomimaru2007-05-01

bk1
著:伊藤剛 画:高遠るい/吉井夏彦/和田洋介 NTT出版*1

マンガはつまらなくなったのか――従来からのマンガ評論が1980年代以降の現状と乖離した「切断線」をめぐるフィールドワーク。
ぼのぼの*2を描くにあたってのいがらしみきおの物語/データベース論と、動物化するポストモダン(東浩紀) *3との対比で、モダン的なツリーモデル、ポストモダン的なデータベースモデルを参照している論が印象的でした。
自分はかなり作家買いをする方だと思ってはいるんですが、この作家買い、ある意味で、作品(表層/小さな物語)を統御する超越的な一点として物語の話者(深層/作者/大きな物語)ととらえるツリーモデルの考え方に近い部分があるのかも。
ライトノベル読者に作者買いを勧める話*4 *5で参照されている記事が、「○○が好きなら△△がお勧め」的な個別作品のお勧めで、共通する断片要素から他の作品を推す形になっており(データベース的)、作家本人の深層を探る全買いのお勧め(ツリーモデル的)ではないところにもポストモダンが現れている、なんてことを夢想しました。

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