ユグノーの呪い

yomimaru2007-05-20

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著:新井政彦 デ:泉沢光雄 光文社文庫*1

美少女ルチアを襲う病苦の深層を探るべく彼女のヴァーチャル記憶空間に入り込んだ健吾は、彼女の祖先 メディチ家に虐殺された新教徒ユグノーの呪いとの関係に疑問を抱き――SF、ミステリ、歴史、ホラーと盛沢山の素材を詰め込んだ第8回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
渦巻き状、筒状に描かれたヴァーチャル記憶空間のマップが、ちょうど館モノの部屋の見取図のように冒頭に挿入されています。現実の建物を舞台にしていないし、パプリカ(筒井康隆) *2同様何でもありっぽい設定なので、犯行現場の作り方(安井俊夫) *3のような本職からのツッコミが入ることはなさそう。
逆にいえば、記憶空間の設定をトリックに生かして読者を驚かせるのは難しい、ということになるかもしれません。
題名を見て ジャンヌ・ダルクまたはロメ(佐藤賢一) *4を現代に持ってきたような方向性なのかな、と思って手にとったので、まさか猿丸幻視行(井沢元彦) *5系のSFミステリだったとは、と、そこが一番驚きました。

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