クローバーに願いを 紅牙のルビーウルフ Tinytales 1
病弱な父王、気弱な兄にかわり、臣下の希望を一身に負う王女ミレリーナ(10)は、隣国出身の盗人ロヴィン(14)に専属魔導騎士としての忠誠を誓わせるが――書き下ろし「琥珀色の夢は覚めない」を含む 国を統べるは美少女ファンタジー短篇集。
一世代下には腹が立つけど二世代下は可愛くて応援しちゃう、なんてことが容姿の時代(酒井順子) *2にも書いてあります。本篇の超幼い王女に対する崇敬の念を見ても自然に馴染めるのは、男女問わず、そういう心理があるからかもしれません。
一方、ヒロイン秀麗がその賢さを発揮して美青年に囲まれる彩雲国シリーズ(雪乃紗衣) *3は、年齢が近い二十台前半の男には生々しい。
本篇のミレリーナや図南の翼(小野不由美) *4 *5の珠晶のように超若い女の子でも、最初から恋愛対象でも競争相手でもないように振る舞ってくれるなら、生々しさはあまり感じません。そういえば、がさつなルビーウルフにも、こういう生々しさはない気がします。
姫を暖かく見守る年老いた臣下の気分を味わいつつどうぞ。
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