ブラフマンの埋葬

芸術家専用ホテルの世話役を勤める僕の前に傷ついたイキモノが現れた。彼を飼うことに決めた僕は――題名から最期が予想できる動物ストーリー、第32回泉鏡花賞受賞作。
ブラフマンという単語を聞くと、日本古代史の謎を探るサイケデリックストーリー 暗黒神話(諸星大二郎) *2が思い浮かんだこともあり、また、泉鏡花賞からバケモノが出てくることを予想して読み始めたんですが、登場シーンでは、単なる迷い犬かと思ってました。
おや、と思ったのは、盥で洗うときの指の描写。でもそれまででダックスフント的な姿が頭の中に浮かんでしまっていて、結局最期までその姿のままでした。本当の姿は、こんな風なのかもしれません。
イキモノを飼う話を読むと、飼っていた虫を知らずに足で踏んで殺してしまった経験を思い出すんですが、そういう苦い感情が静かな森に淡々と圧倒される結末。

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