ヒツギでSOSO!

テロ被害者のPTSDが原因で発現する超能力を期待されて公開処刑執行官の養成校に特待生入学した奏輔は、死刑後の葬儀実習に熱を入れ――戦慄の棺で葬送熱血アクション。
同じく新人賞選考が荒れた 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(入間人間) *2が少年犯罪者を描くのに対して、本作では、死刑執行人に養成される(された)少年が取り上げられています。犯罪者の方がインモラルなはずなのに、少年死刑執行人の方が危なく感じる、このテーマの選び方は非常に先鋭的に感じます。バトルランナー(シュワルツェネガー) *3的な危なさ。
ところが、このテーマの重苦しさとに反して、テロリスト集団の人質となっての逃避行を含め、全体の基調は熱血アクションコメディ。葬式マニアの奏輔の語りに、少年葬儀屋ラブコメのモチつけば菊の花束(大野潤子) *4をちょっと思い出しました。
各国の葬儀蘊蓄の果て、最期に出てきた葬儀のやり方は、根本的にはバルバラ異界(萩尾望都) *5 *6と同じかも。元刑務官が明かす死刑のすべて(坂本敏夫) *7と読み比べるのも良いかと。お薦め。

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