カラクリ荘の異人たち〜もしくは賽河原町奇談〜

カラクリ荘の異人たち?もしくは賽河原町奇談? (GA文庫 し 3-1)
著:霜島ケイ 画:ミギー GA文庫*1

父の再婚相手への気遣いから、家を出て空栗荘で下宿することになった対人接触恐怖症の太一がバスを降りると、豆腐売りのアマガエルから手足のついた金盥が豆腐を買う姿が――あちらとこちらは扉一枚で隔てられ奇譚。
たとえば異世界に召喚されたり異形の妖怪に出会ったりしても、動転驚愕するのではなく、当たり前のように受け入れて動揺しない太一の姿が現代的。フィクションをフィクションとして頭で理解はしつつもゲームやアニメで《練習》を積んでいる昨今、これぐらい普通に、すぐに馴染んじゃうんじゃなかろうか、と思います。
雰囲気は異界に取り込まれた者が此界を見ながらもそれなりに楽しく暮らす 舟型の石(山田ミネコ) *2にも似ていますが、太一に何故か絡んでくる同級生 采奈のおかげで、いくらか恋愛分が増してます。
押入れのちよ(荻原浩) *3っぽい設定のアカネですが、古風なちよとは違って、付喪神といえども洋装への憧れがあるところに、幾つになっても女の子は女の子、と感じたり。
白馬に乗るのはどこまでOKか、を語るあとがきのGA文庫の編集方針が面白かった。ビジュアル的にはかなり怖そうな新キャラ登場の展開に期待。

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