ライタークロイス

騎士試験受験のため上京したカインは、掏摸にあっても宿主が蒸発しても、めげることなく何とかなるさで乗り切って――上向き前向き後悔せずファンタジー
主人公カインは、屈託がなくて悩み知らずの単純一直線男で、最終的に選ぶ《正義》も決して頭がイイやり方とはいえないんですが、丁寧で抑制の効いた口振りのおかげか、女と一緒で一つしか蒲団がないときに真ん中に仕切りを作っちゃうような三四郎(夏目漱石) *2の度胸のなさ純朴さ田舎っぽさは、あまり感じません。娼館に誘われての対応も判断結果は三四郎に似てるんですが、自分で選んでその選択に恥じない後悔しない、というところがいいのかも。
二人称で「卿」を使うアルファは、蒼闇の刻シリーズ(足塚鰯) *3のユヒケや星界シリーズ(森岡浩之) *4のラフィールとも共通する尊大系の喋り方をするんですが、自身の身の上に誇りを持って押し出しを効かせるか、それとも身分を隠したり忸怩たるものがあったりするか、で、かなり印象が違います。
記号化って、尖っている方へ、奇矯な方へ、媚びのある方へ進化するのかも、なんてことを感じました。

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