エンドロールまであと、

著:壁井ユカコ 画:太田早紀 小学館ルルル文庫*1

病弱故に成長が遅い双子の姉 右布子の腹痛に弟 左馬之助は「アレ」じゃないかとほのめかすが、彼女は何のことかわからず仕舞いで――心身の繋がった《一卵性双生児》の禁断の恋の物語。
少女レーベルでの姉弟の恋というと、6秒の9月(赤石路代) *2 *3、草花迷宮(中野純子) *4罪に濡れたふたり(北川みゆき) *5とかのような、ちょっと大人びた二人の展開かな、と思っていたんですが、本作の特徴は、右布子の精神年齢。
二人は高校二年生なんですが、右布子の反応の一つ一つがかなり小学生っぽくて、女性ならではの体と心の連携を強く感じさせます。右布子の口調が男の子喋りなのも、彼女の未熟さを強調する上で効いてます。
左馬之助が《男の恋》だとしても、右布子は《女の恋》ではなくて、ライナスの毛布に対する執着めいた部分があります。ちょうど、ガラスの仮面(美内すずえ) *6 *7嵐ヶ丘篇で、ヒースクリフに恋するキャサリン役を演じるマヤに対して、速水が「玩具をなくして泣き喚く子供」と指摘するシーンを思い出しました。
美しい近親愛を程良く彩った本作は、過剰な からくりアンモラル(森奈津子) *8の滑稽さとは対照的。本作は、かつて《少年》だった《少女》が、《女》に変わる成長ストーリーなのかもしれません。

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