シャーロックホームズと賢者の石

宿敵モリアーティ教授とのライヘンバッハの滝における最後の闘いから生還したホームズの必殺技とは、日本の――《バリツ》とは果たして何なのかパスティーシュ集。
鋭い探偵と愚かな助手兼記述者の微妙な敵対関係が描かれる「彼が死んだ理由――ライヘンバッハの真実」が持つほろ苦さは、共作ミステリ作家の出逢いから別れまでを描く おかしな二人岡嶋二人盛衰記(井上夢人) *2と共通するところがあります。
そして「最強の男――バリツの真実」。昔読んだ本では《バリツ》*3のことを「武術(ブジュツ)の誤り?」と解説していたんですが、この短篇に明かされる《真実》の方がずっと面白い! こういう発想はありませんでした。
ホームズの国際的な活躍が目立つ本作は、あの時代の、世界のうねりを感じさせる一冊です。

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