彼女はQ〈クイーン〉

著:吉田親司 画:シオミヤイルカ 電撃文庫*1

特待生待遇を辞退した強運の持ち主 古座間とは対照的に、学費をオーストラリア債に丸投げすると宣言した金の亡者の帰国子女 美夏。彼女に賭を持ち掛けられた貧乏な数学の天才 倉美子は――宇宙人と巫女のトランプ版放浪記。
ギャンブルをテーマに取り上げた本作は、麻雀放浪記(阿佐田哲也) *2、バクト!(海冬レイジ) *3マルドゥック・スクランブル(冲方丁) *4 *5 *6等と同様に、大金が動くのに何故かキャラが貧乏臭い感じ。そういえば、007カジノ・ロワイヤル*7死の商人ル・シッフルにも同じ印象があります。ギャンブルにすべてを賭けてしまうのかあくまで遊びと割り切るのか、必死か余裕かが、貧乏臭くなるか否かの別れ目なのかもしれません。
インディアン・ポーカー、5スタッド・ポーカー、大貧民ブラックジャック、ドロー・ポーカーと、各種のカードゲームのルールと見せ場とブラフが小気味良いテンポで展開。人ではなくて、ゲームの方がキャラが立っているような気すらします。
登場人物の誰もが負けるとそれを愚直に受け入れるところに、《ギャンブラーの矜持》というファンタジーが感じられて、読了後は意外な爽快感が残る一作。

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