Nippon 2007

第65回世界SF大会/第46回日本SF大会 Nippon 2007*1に参加しました。一番の目当ては「サイバーパンクと未来への想像力」(巽孝之東浩紀桜坂洋)。
SFやサイバーパンクは、街中で携帯電話の画面を見てメールする姿を想像できなかった、なんてことが良く言われますが、今回のトークでなるほどと思ったのは、時間差の話題。
ニコニコ動画では、まるっきり違う時間に書き込まれたコメントを動画再生時間に連動してソートして表示することで、本来「会話」がなりたっていないはずなのに、書く人も見る人も「会話」がなりたっているかのように受け取っています。
通信・交通手段の発達で距離が「克服」(巽)され、位置の差が「キャンセル」(桜坂)されることで生じる社会的な状況すら予見できないのに、情報処理手段の発達で時間の差を「キャンセル」(桜坂)して、フラットな「アーカイブ」(東)にして時間軸を切り替えることで生じる状況って、どう想像していけば良いのか。
未来予測エンタテインメント企画のギートステイト*2では、2007年の現在と2045年の未来の時間差を「キャンセル」して、二つの時代が抱える問題を「アーカイブ」的に重ね合わせる側面があるような気もします。登場人物に老人が多いのも、老いという生物学的な時間差だけは「キャンセル」できないってことなのかも。
それから、技術発達による成果に対して、「克服」という肯定的な言葉ではなく、「キャンセル」という否定的な言葉の方がしっくりくる自分に気付かされました。

追記
星雲賞はアイの物語(山本弘) *3と予想してたので、日本沈没第二部(小松左京谷甲州) *4がとったのにはちょっと驚きました。

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