理由あって冬に出る

芸術棟に立花先輩の幽霊が出るとの噂のせいで練習が進まない吹奏楽部の部長 高島、部員 秋野の頼みで、ミノと4人で夜の校舎に向かった僕は、幽霊が現われるのを見て――ノリノリ文化系のコミカルミステリー、第16回鮎川哲也賞佳作入選作。
《僕》こと葉山君もまた文化系の美術部部員で、探偵役の伊神文芸部長の使い走り役を担っているんですが、聞き込みに回るどの部も常時新部員募集中で、女の子ばかりの部から勧誘されまくりなシーンが嬉しい。
演劇部の女部長、《漢》の柳瀬先輩と葉山君の間には、どこからが演技でどこまでが本気なのかわからない、いい雰囲気があって好み。『化物語』(西尾維新) *2 *3とは違った意味での丁々発止、というか、葉山君が刺されまくり。ぽややんと照れる柳瀬先輩も可愛い。
究極超人あ〜る』(ゆうきまさみ) *4が遠巻きに女の子を眺める文化系男子跳梁モノとすれば、本作は、男は男趣味は趣味の文化系女子跋扈モノ、という感じでしょうか。お薦め。

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