輪環の魔導師 闇語りのアルカイン

いつまでたっても世話焼きな貴族の娘フィノに身分の差を感じ戸惑う平民薬師の美少年セロは、祖父の遺品の魔導具に興味を示す騎士ハルムバックの態度に何故か反感を覚え――身を引く身勝手ファンタジー
年上の女性に好まれる容姿の持ち主セロの鈍感な態度にやきもきしつつ、積極的にアタックしてもかわされてしまうフィノの姿が何とも微笑ましくて楽しい。妙に老成してしまって現状にさほど不満のないセロには、ある種の勝ち組の風格すら感じられます。
そんなセロでも、フィノのためを思って、フィノに黙って○○しよう、と考えると、全部フィノによって覆されて、裏目に出ちゃうところが実に好み。自己犠牲に酔うことの危険性や、二人の問題は二人で解決すべきという教訓がしみじみ伝わってきます。
長靴をはいた猫』(ペロー) *2に捧げる一冊、との位置付けのようですが、とすると、セロは貴族になってフィノを嫁に迎えるのか、それとも国王からフィノを寝取るのか。今後の展開が楽しみです。

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